09 Nov 廓育ち 三田佳子が大女優の片鱗を見せる
原作は川野彰子の小説。早逝されたが夫は医者の川野純夫。妻と文芸仲間として親しかった田辺聖子と再婚し、田辺のエッセイに「かもかのオッチャン」として頻繁に登場するので有名。最初から話が脱線しましたが、このストーリーには、そんなバックグラウンドがあるんですね。この映画の時点では23歳だった三田ですが、すでに大女優の片鱗を見せるほどの堂々とした主演演技です。京都の廓に養女として貰われてきた少女が、そこから抜け出そうとするものの、最後は自滅してしまうという悲劇です。廓の女将、三益愛子が出色。三田を後継にするため、あの手この手で鍛えるんですが、業突く張りの老女を演じてこの人の右に出る者はいない。三田の恋人で、最後には三田を捨ててしまう医者志望の青年が梅宮辰夫。豪快なオヤジのようなイメージしか持ってませんでしたが、20代の頃はガッチリした体格で甘く精悍な美男子。これじゃモテモテで女性が放っておかなかったに違いない。さて東映でトップ女優として張り合っていたのが、三田佳子と佐久間良子のダブルよしこで、佐久間は分かりやすい美女。三田はひとひねりした美女。どちらかと云えば、佐久間が作品に関しては優遇されていたのではないでしょうか。そんな中で意地を見せて主演した1本がこれですね。未見ですが、東映時代二人が初共演した映画(嫉妬)もあります。その後、映画斜陽時代になりトップ女優がテレビへ流れていきましたが、そこから三田が大躍進。気が付くと、長者番付で一位になり、テレビ映画舞台に引っ張りだこ。女優として頂点に立ちました。が、運悪く不肖の息子に足を引っ張られ、頂点からはずり落ちてしまいました。現在二人とも70代後半と思いますが、最近「徹子の部屋」で拝見しましたが、お二人とも美しく現役です。本道を歩く大女優と言えるのではないでしょうか。
75点
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